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「……此処は、何処だ……?」
家具も窓も一切存在しない、純白の部屋。その真ん中で俺は目を覚ました。座っているのは、脚の先まで真っ白な椅子だ。
「おかしいな……こんなところ、いつ来たんだ? 学校の帰りだった筈なのに……」
そう言いながら立ち上がろうとするが、何故か立てない。
「なんだ……?」
見てみると、腹の辺りに真っ白なガムテープがぐるぐると巻き付けられていた。どうやら、これで椅子ごと拘束されているらしい。
流石に、これはただ事ではない。
「まさか……俺は誘拐されたのか?」
余りにも不吉な予感に、全身から血の気が引いていくのを感じる俺。確かに、下校中の記憶が途中から無い様な気がする。
「確か今日は、山田達とゲーセンに寄って……ファミレスで軽く食事を摂ってから……だめだ、その後が思い出せない」
俺は記憶を絞り出す様に、何度も頭を振るとうんうん唸り声をあげる。
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