15人が本棚に入れています
本棚に追加
だとすれば、俺は殺される為だけに捕まったというのか。そんな理不尽なこと、あっていい筈がない。
俺は涙にぬれながらも、抗議する様に女を睨みつけた。
けれど、女はそんな俺を見て、より一層嬉しそうに微笑むと、頬を紅潮させながらナイフを振り上げる。
「そうそう、その目よ。やっぱり、若い子はいいわねぇ。簡単に死なないし、何より直ぐ諦めないであがいてくれるもの! うふふ、堪らないわぁ。さぁ、もっとあがきなさい! あがいた分だけ、その抵抗が絶望に変わるのだから!」
女は興奮気味にそう捲し立てると、今度は俺の右の腿へとナイフを突き刺した。
「うわああああああ!!!!!」
俺は再度、絶叫を上げる。
しかし女はその手を止めることはなく、何度も何度も俺の手や足にナイフを突き立ててくる。
「あはっ……あはははははは!!!!!」
狂った様に笑い声を上げながら、ナイフを振り下ろす女。
俺はその凶刃から逃れようと、叫びながらも何度も身を捩る。
すると、ふと女の攻撃が止んだ。
見上げると、女がニタリと笑い、俺の上から身を引いていく。
「た、たすかった、のか……?」
最初のコメントを投稿しよう!