晴れのひなかに

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「ねぇ、見てあそこ!」  隣を歩いていた友達が、不意に立ち止まり、大きな声を出す。 「え、何処何処?」  私もつられて立ち止まると、きょろきょろと辺りを見回した。 「ほら、あそこだよ、あそこ!」  そう言って親友が指さす田んぼの向こうーー其処には、列を成して歩く沢山の人の姿があった。 「へぇ、何だろう?」 「何かの行列かな?」  興味を抱いた私と親友は、行列が良く見えるところまで近寄ってみる。とーー。  シャンッ。  不意に耳に飛び込んでくる、澄んだ鈴の音。同時に激しい風が吹き荒び、私と親友はぎゅっと瞳を閉じた。  シャンッ、シャンッ。  すると、私達の耳元で再度鈴の音が響く。その音につられる様に私達が目を開けると、そこにはとても美しい嫁入り行列が列を成し、歩いていた。 「わぁ……」 「……凄い……」  余りに華やかで、それでいて何処か神がかった様な静謐ささえ伺わせる雰囲気に、私は思わず歓声をあげ、親友は息を呑む。まるで、時代劇のワンシーンを見ているかの様な荘厳さとリアルさだ。 「こんなの、初めて見たかも」 「うん、私も」  
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