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息をすることすら忘れ、その華麗な嫁入り行列に見入る私達。それ位、私達が目にした嫁入り行列は美しいものだった。
例えばーー花嫁道具の一つなのであろう、二人の男性が棹を通して担ぐ長持ちには、見た目にも煌びやかな螺鈿での精緻な細工が施されており、価値を知らない私や親友にすら、大変価値のあるものであると理解させた。
だが、その行列の中で何より目を引いたのが、純白の花嫁衣裳に身を包み、行列の真ん中を歩く花嫁の姿だった。
穢れの無い、新雪の様な真っ白な白無垢に身を包んだ女性は、照れているのかやや俯き加減になり私達の目の前をゆっくりと通り過ぎていく。
花嫁に付き添っている女性ーー仲人婦人であろう彼女が差す、緋色の和傘も花嫁の白と良い塩梅に対になり、その美しさを引き立たせていた。
「本当に素敵な行列。今時嫁入り行列なんて珍しいけど、これだけ長くて華やかな行列だし、花嫁さんはきっといい所のお嬢様なのかもね」
「うんうん、そうかもそうかも」
目の前を通り過ぎる、極彩色の花嫁道具の数々を溜息と共に見つめながら私達は言葉を交わす。
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