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男は再度、タバコに火をつけると、
『これで当分、スパイ捜査は無いだろう。が……まず今回、逮捕された者たちもスパイではないはずだ……』
その光景を見詰めている良夫は、生つばを飲み込んだ。
軍服の男は更につづけて、
『本当のスパイは、ここにいるのだから……』
肩を揺らせて無言で笑った。
その時、良夫は目を血走らせて、
「てめー! このヤロー!」
軍服の男に殴りかかろうと、その身を起こした。
その瞬間、再び強烈な雷鳴がして、真っ白な閃光が部屋を包んだ。
良夫は、その白い光の中に飛び込む格好となり……
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