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「……じょうぶ? 大丈夫?」
誰かが俺の体を揺さぶっている。
目を開けると、それは柴田だった。
「……し、しばた」
「よかった! 倒れてるからビックリしたよ」
あれ、俺は今どこに……?
目だけで地面を見ると、そこは横断歩道だった。
それも、しっかり白線のある横断歩道だ!
俺は飛び起きた。
向こうの道路の端にも、細長い白線が引いてある。
「戻ってこられた!」
「は? お前、どこ行ってたんだよ!」
柴田が大笑いしている。俺も笑った。
笑い疲れたところで、俺は言った。
「なあ柴田、『白いところ以外を踏んだら地獄行き』みたいなやつ、やんない?」
柴田の目元が緩む。
「ああ、懐かしいな。俺もよくやったわ」
「あれさ、真剣にやると結構楽しいんだよ。やろう!」
「うん!」
俺はまだ高校生だ。大人ではない。
でも、もし本当の大人になってしまっても、遊び心を忘れない、楽しい大人になりたいものだ。
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