「春」君との出逢い

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「春」君との出逢い

「早くしなさいショウ! 入学式に遅れるわよ」 二階まで響き渡る母さんの声に俺は思わず布団から飛び起きてしまった。 (分かってるってうるさいな…) そんな気持ちを抑えつつ洗面台の方に向かった。 今日から念願の高校生活が始まる。不安もあったが、新しい生活になぜか心躍る感じがあった。 素早く髪をセットして、ちょっとカッコつける感じで今日の髪型は整った。 (よしこれでOK) 「早くご飯を食べなさい!」 そろそろ母さんが本気で怒る前にご飯を素早く食べた。 「行ってきまーす」 そう言って家を出るとすぐ自転車に乗って高校へ向かった。 ここから自転車で約一時間ぐらい、俺の住んでいる町から田舎の方に向かった所に高校はある。 俺は町の高校より自然がある所の方がほのぼのしていいじゃないかと、ちょっと年寄りじみた考えで この高校を選んでしまった。 (少しふざけすぎだったかな、まあでもギスギスしている町の方よりもいい思い出作れそうだし) そんな事を考えながら来ていたら、もう目の前に城山高校があった。 (やっと着いた、初日に遅刻だなんて格好悪いもんな) 自転車を駐輪場に置いて、校庭の方に向かった。 一学年四クラス校庭に貼り出された紙を見ながら自分のクラスがどれか探した。 (あ…三谷翔(ミタニショウ)、一年三組に俺の名前があった) 早速三組の教室の方に向かった。 教室の中に入ると俺の席は一番後ろの窓際の席。 前の中学で一緒だった者同士話している連中がいて、 (早く友達つくらないとな) 周りを見渡しても俺の知っている人はいないのでどの子に喋ろうかなと思っていたら、 窓際の一番前の席に明らかにつまらなさそうに景色を眺めいている男の子を発見した。 (まずはこいつに話しかけてみるか) 「おはよう。俺も一緒のクラスなんだ、もし良かったら仲良くしよう」 そう言った途端、 「別に興味ないからあっち行ってくれ」 (なんなんだコイツは!!) イラっとした俺は思わず、 「俺の方はお前に興味がある!!」 そう言い放った途端コイツは、 さっきまでのつまらなさそうにしていた表情とは一変したようにみるみる内に顔を真っ赤にして、 席を立ち、駆け足で教室から出て行った。 「変なやつ」 この出来事がサトルとの最初の出会いだった。
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