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「…くっそ、煙草…」
ズボンのポケットを漁り、煙草の箱を取り出すも中身が異常に軽い。
「…ちっ、切れてる…」
仕方ない、買いに行くか。
椅子から立ち上がると、クローゼットの中から適当な服を引っ張り出し、着替える。
人気作家として顔出しもしたことがあるため、あまりみっともない姿で外には出たくない。
漫画家がネタが浮かばず2週間ぼーっと過ごしているのだから、今更どんなみっともない姿を晒してもそれを上回ることはない気がするが。
財布とスマホを持ち、玄関の扉を開けると、冷たい風が頬を触った。
「さっむ…」
そういえば、前に食料調達にスーパーに行ったのはいつだったか。
知らないうちに、外は冬がもうすぐそこまでやってきている。
連載が終わった夏に、俺だけ取り残されているみたいだった。
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