寒い夜に求めるあれ

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 ★ 十二月二十四日、木曜日。 今年三度目の雪を降らせた今夜はホワイトクリスマスということもあり、テレビのニュースではカップルたちが肩を寄せ合いながら幸せそうにインタビューへ応じる姿が朝から何度も映し出されていた。 そんなリア充の祭典みたいな聖なる夜も、浪人生の俺はただ一人ボロアパートで過去問相手にひたすら鉛筆を動かし続けている。 彼女なぞおらず、部屋へ招く友人すら存在しない。 二浪してしまってからは親にも愛想をつかれ、仕送りすら雀の涙程度しか貰えなくなった。 娯楽はほとんど楽しむ余裕がなく、食費すら切り詰める日々を過ごす自分には、コンビニのケーキを買う経済力もない。 「ちくしょう……」 集中できぬからと電源を切ったテレビの代わりに点けたラジオからは、今日何度目かわからないクリスマスソングが流れ出し、俺はうんざりしきったため息を吐きながらそのスイッチもオフにした。 「何がクリスマス、聖なる夜だよ。馬鹿にしやがって」
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