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「いやいや、人間なんてしょせんそんなもんでしょ?」
そこで俺は『よっこらしょ』と言いながら立ち上がり、加東と向き合った。
しかし6、7センチは身長差があり、彼を見上げる格好になるのは変わらない。
一瞬モヤモヤとしたものが胸中で渦巻いたが、それを強引にはね除けて続けた。
「だからある意味加東さんはキューピッドなんですよね。俺の気持ちをこれでもかとばかりに奮い立たせてくれた。それでちょっとした仕掛けを思い付く事ができたし…」
「え?」
「あ、いや。何でもないです」
浮かれて調子に乗って余計なことを口走るところだった。
あぶないあぶない。
「とにかく感謝感激雨霰ですよ。ホント、ありがとうございました」
「だけど、いくら何でも急展開過ぎないか?」
俺のおどけた口調がどうにもこうにも癪に障るのか、加東は渋い表情で言葉を繋いだ。
「何で佐藤さん、このタイミングでいきなりお前に告白をしたんだよ。今まで全然動きがなかったのに」
「いや、別に不思議じゃないでしょ?佐藤の方もあんたに気持ちを伝えられて自分の中にある俺への思いを再認識し、ぜひとも昇華したくなったんでしょうから」
「しかも何でここなんだ…」
聞いているのかいないのか、加東は自分のペースで勝手に淡々と続ける。
「何で彼女に振られた公園に、お前にまで呼び出されなくちゃいけないんだよ」
「え?そうだったんですか?」
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