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永遠に止まないのかと思えるような耳障りな雨の音。
微かに漏れ聞こえる、小さな小さな悲鳴のような喘ぎ声。
反り返った黒子ひとつない白い背中。
濡れた髪。ポタリと落ちる滴。
隙間から覗く意外なほど細い首。華奢な肩。
それを支える力強い腕。引き締まった身体。
繋がった中心部。
猛々しくそそり立ったそれを身体に咥え込み、歪められた眉。
「……ぁっ…」
どちらが発したものなのかわからない、苦痛と快感を伴った声。
震えるように痙攣する二つの身体。
一見すると理性なんか欠片もない、ただの欲望の塊に見えるその行為は。
不思議なことに、何故か酷く哀しげに見えた。
哀しい。哀しい。哀しい。
言葉にならないその声は、耳障りな雨の音にまぎれて。
泡沫のように消えていった。
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