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雨に濡れた制服は外の気温とあいまって、氷のように冷たくなっている。
ミズキの顔はこれ以上ないくらいに青ざめて唇まで紫色になって、今にも凍えそうになって震えていた。だから俺はあいつのシャツのボタンを外し、ズボンを脱がせたんだ。
どこで何が狂ったのか、よく思い出せない。
ただ、こいつがミズキなのかと。
こいつが兄貴が俺に見せたがらなかった宝物だったのかと。
そう思うとなんだか妙な気分になった。
兄貴はこいつのどんなところに惹かれたんだろう。こいつのどこが兄貴にとってそんなにまで大切だったのだろう。
雨の降る真夜中にバイクを走らせようと思うほど。
あの兄貴がハンドルを切り損ねるくらい必死に急ぐほど。
どうしてもそれが知りたくなった。
シャツを脱がせ露わになったミズキの肌は、驚くほど白かった。今思うと、それは寒さのせいで血の気が引いていただけだったのかもしれないけど。
まるでとてつもなく澄み切った氷か硝子みたいだ。
少し麻痺した頭の中で俺はそんなことを思った。
そしてその硝子細工に触れてみたくなって、後ろからそっと手を伸ばす。背中から肩甲骨をなぞり、そのままその手を腰のところまでずらしたところで、あいつの肩がピクリと驚いたようにほんのわずか跳ねた。
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