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目的地の大学へ向かう道すがら秋良女史から聞いた情報では、そいつは大学の演劇サークルに所属している、十九歳の学生だとのことだった。ただ最初は役者ではなく、裏方を希望していたらしく、あまり表に出ることはなかったらしい。
が、そいつは女史の言うところのすっっっごいイケメンだったわけで、そうなると周りが放っておくわけがない。なんとかなだめすかして舞台に立たせたところ、これがまた見事に舞台映えのする奴で、あっという間に表舞台でも中心人物になってしまったということだった。
元裏方志望というのも、搬入搬出、照明音響なども役者が兼任するやり方であるうちの劇団に合っている。
さらにそいつは頭もよく、周りの先生達からの評価も高い。
「天は二物どころか三物も与えたみたいね」
「……あんま期待かけると本人目の前にして失望しますよ」
「五月蠅い」
小難しい漢字で怒られてしまった。
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