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再会という名の出逢い
「これから初顔合わせだから、あんたも来なさい」
そう言って代表の奥さんであり、当劇団『賢治の童話館』の副代表兼シナリオライターを務める秋良女史は迷うことなくまっすぐに俺を指さした。
「俺が? なんで?」
「なんでって、今度の新人はあんたの相棒になるんだから挨拶しておくのは当たり前でしょ」
そう言って秋良女史はにやり…もとい、にこりと俺に向かって微笑みかけている。
そういえば、ようやくいい人物が見つかったらしいと、昨日、今度の班の座長になる伊豆さんが言ってたことを思い出し、俺はしぶしぶ頷いた。
なお、秋良女史は相棒という言い方をしたが、別に俺は某有名ドラマのように刑事というわけではないし、この劇団で刑事の役をやっているわけでもない。
俺、脇坂健が所属している劇団『賢治の童話館』は、小中学校を中心に巡回公演を行っている地方巡業専門の劇団であり、演目も随分とメルヘンな名前に準じ、宮澤賢治の童話作品が中心だ。
今年の演目は、当劇団の中でも一番の人気作品である『銀河鉄道の夜』。そして俺は、この二学期からの巡業で主役のジョバンニを演じることが決まっていた。
銀河鉄道の夜という作品は、ジョバンニ少年とカムパネルラ少年が銀河を走る列車に乗って旅をするというストーリー。
つまり俺の相棒というのは、カムパネルラ役の役者ということなのだ。
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