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グラスの中のカクテルをグビっと飲み干し、もう一杯別のお酒を頼む綾瀬さん。
その横顔はほんのり赤くなっているようにも感じた。
「酔っていたから彩葉ちゃんがあんな積極的だったってのは分かってる。でも……」
綾瀬さんは言葉を詰まらせ困ったように私に向かって微笑む。
その先何を言おうとしているのか皆目検討もつかない。
「可愛いって思った。あの夜の彩葉ちゃんを」
「えっ??」
お酒の効果でそんなことを言っているのだろうかとも疑ったが、まだ綾瀬さんは1杯半程しか飲んでいない。
そんなんで酔うほど綾瀬さんはお酒は弱くはないだろう。
「酔って寝ちゃった彩葉ちゃんをホテルに連れてった時、少なからず下心はあった。幻滅するだろ?俺は彩葉ちゃんが思っているようなできた大人じゃないんだ」
「そんなことないです」
赤裸々に語られるあの夜の綾瀬さんの気持ち。
それは私の予想していたものとは全く違って、信じられないことばかりだった。
「俺だって男で下心だって少なからずあったのにそれを知ってか知らずか彩葉ちゃんは抱き締めて欲しいなんて言ってくるし俺の理性を試してるのかと思った」
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