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「まあ、そう言う訳で作戦の下準備は整ったわ、現在、残党狩部隊本隊の陣営は使い魔達の監視下にあるわ、状況に特段の変化が無い限り作戦結構は今夜深更、夜半に外哨拠点襲撃部隊と別動隊を進発させ、あたし達は盟友のフォレストドラゴンが到着し次第これに後続して出撃するわ、基本方針は以上だけど状況によって方針が流動的に変化するからそのつもりで準備を整えなさい、何れにしても動きがあるのは夜に入ってからよ、それまで各自休養して鋭気を養いなさい」
「「はい」」
アイリスの指示を受けたライナ達は小気味良くそれに応じ、その姿を目にしたミリアリアが決意を籠めて頷いているとアイリスが蠱惑の笑みを浮かべて囁きかけてきた。
「……時間があるから一緒に入浴したいけど、あんなに悪戯されちゃった後だし、今後に支障が出ちゃうといけないから残念だけど諦めるわ、この襲撃が終わったら一緒に入浴しましょう」
「……っ……わ、分かった」
アイリスの囁きを受けたミリアリアは顔を真っ赤にさせて言葉に詰まった後に恥ずかしそうに俯きながら答え、アイリスがその答えに嬉しそうに微笑んでいるのを目にしたライナは頬を赤らめながらリーナとアリーシャに囁きかけた。
「……わ、私達は今の内に入浴しておいたほうが良さそうだな」
「……そ、そうね、み、ミリアリア様とアイリス様の憩いの時を邪魔しちゃマズイもんね」
「……う、うん、そんな恐ろしい事したら命が幾つあっても足りないよね」
ライナの言葉を受けたリーナとアリーシャは頬を赤らめながらその提案に同意し、それから3人はアイリスに一声かけた後にマスタールームを後にした。
大陸歴438年霧の月九日深更・ダンジョン周辺
日付を跨いだ霧の月九日深更、眠りに就いた様に静まりかえっていたダンジョン周辺に動きが生じた。
血に塗れた様な紅に染まる月が見下ろす中、無人のキャンプ跡にロジナ候国軍の軍装を纏ったスケルトンの集団が出現すると骨を軋ませながら前進を始め、それに続く形で姿を現した魔狼の一団が軽快な足取りで木々の合間へと消えて行った。
「スケルトン部隊及び魔狼部隊進発しました」
少し離れた木立の傍らで進撃を始めた異形の集団を見送ったライナは静かな声で後方に佇むアイリス達に報告を行い、アイリスは頷いてライナを手招きして呼び戻した後に皆を見渡しながら口を開いた。
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