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「……後悔なんてする訳が無い、貴女の眠りを妨げた時私は覚悟していた、目覚めたばかりの魔王の貴女に糧とされる事を、だが、貴女は私を糧とする事無く墓荒らしの敗残兵に過ぎない私と話までしてくれた、だから私は一層貴女の糧になる覚悟が出来たんだ、ロジナの屑どもに矜持を砕かれ、心をへし折られ、汚し尽くされる位なら貴女の糧になろうと、だが、貴女は私を護る為にダンジョンを造り、戦友の窮状を救い、そして今宵も虜囚となった戦友達を救い出そうとしてくれている、確かに、貴女は魔王だ、だが、私は聖女でも偽善者でも無い、私を護る為に力を尽くしてくれた貴女を拒むつもりも非難するつもりも更更無い、もしも貴女を拒み、貴女を非難し、貴女を排除しようとする者が現れたなら、私は喜んで貴女と一緒にその矢面に立つつもりだ、だから、貴女は魔王として貴女の思う通りに行動して欲しい」
ミリアリアは真っ赤な顔でそう言うとしがみつくアイリスを見詰めたが、アイリスが頬と耳を鮮やかな朱に染めながら自分を見上げているのに気付き、今の状況を理解すると慌ててアイリスから離れながら言葉を続けた。
「……っい、いきなりすまない、そ、その、わ、私は気にしてないから、あ、貴女は貴女の思うように行動すれば良いと言いたくて、そ、それでいきなり、あんな」
ミリアリアは真っ赤な顔でしどもどろに告げ、その様子を見ていたアイリスはクスリッと頬を綻ばせながらミリアリアに声をかける。
「……フフフ、ありがとう、それじゃあ行きましょ、上空(うえ)で皆待ってるわ」
「……へ、あ、ああ、そうだな」
アイリスに声をかけられたミリアリアは我に帰ると真っ赤な顔でアイリスに歩み寄り、頬を赤らめさせたアイリスは少しぎこちない手付きでミリアリアの身体を抱え上げた。
「……そ、それじゃあ行くわよ」
「……あ、ああ宜しく、頼む」
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