3.

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傍らで眠る子犬のくせ毛を、高原はそっと撫でる。 今日の桜田は少し変だった。 道場に連れていって、じゃれているときは本当に楽しそうだった。 想定外に、自分も楽しんでしまったぐらいだ。 その後、宇賀神と川嶋が現れて、それからだ。 いつもどおり振る舞っているように見えて、どこか何かに気を取られているような、心ここにあらずのような。 抱かれることも嫌がらなかったけれど、最中ですら、何か様子がおかしかった。 突然涙を零したり、急に激しくして欲しがったり。 まさかとは思うけれど。 くしゃり、と彼は、そのくせ毛を指に絡めた。 胸がチクリと痛む。 彼の崇拝する、そのひとに。 心が動いた……のだろうか? そのひとは、どんな相手も魅了する王者のオーラを持っているのだから、そうであっても不思議はない。 まして、桜田は。 どうやら強い男に惹かれるらしいことを、高原は知っている。 もしも、そうなら。 自分は、どうするだろう? 宇賀神は、決して子犬に振り向かないだろう。 彼にはもう唯一のひとがいる。 どうするのだろうか、自分は。 そして、子犬は。 高原は、知らず、ため息をついた。 指に絡まった柔らかい髪のように、この可愛くてたまらない子犬の心も、絡めとってこの手の中に捕まえておければいいのに。
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