volume7

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「緊張して喉渇いてるんじゃない?」 リョウさんは冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを2本持って私の隣に座った。 「どうぞ」と1本はテーブルの上に置き、リョウさんはもう1本のキャップを開けミネラルウォーターを喉へ流し込んだ。 ふぅ~とミネラルウォーターをテーブルに置くと、ソファーの背もたれに体を預け視線を私に向けた。 「……説明、してくれるんですよね?」 「……歩さんが言ってたこと覚えてる?」 「歩さん?」 「……18年他人だった人をオヤジなんて呼べないでしょ」 「……佐々木さんの、こと……ですか?」 「そう。俺の前に現れたのがリンと出逢う少し前。認知するから一緒にフランスに来てくれって……最初は俺が高校を卒業したら行く予定だった」 「フランスに、ですか?」 「そう。正直、勝手だと思ったよ。歩さんとお袋の話を聞けば聞くほど。だから、リンと出逢った時にはもう、フランスに行くことは決まってた」 「……でも、リョウさんがフランスに行ったのって」 リョウさんじゃなく、私が卒業してからだったはず。
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