volume1

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「あの頃はシンデレラ・ボーイなんて言われて、面白おかしくみんな言ってたけどね」 「いやでしたか?」 「ん?」 「シンデレラ・ボーイなんて言われ方されて」 「いやではなかったよ。と言うより、必死で周りの言うことなんて耳を傾けているヒマさえなかったからね」 彼は苦笑いを浮かべ「何時でも世間は勝手だからね」と言う彼の半生が平坦ではなかったんだと、資料だけではなく、彼からも伝わってくる。 「でも、佐々木さんの音楽を聞けば、ぐうの音も出ないと思いますけど」 私はカバンから佐々木さんの新しいアルバムをテーブルの上に置いた。
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