volume1

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取材も終盤に差し掛かった時に佐々木さんが「後から息子も合流することになってるんだけど、構わないかい?」と遠慮がちにたずねてきた。 「息子さんですか?」 「あぁ」 彼に息子なんて居た? 相場に渡された資料を頭の中で思い出す。 でも、いくら思い出しても”息子”と言うワードは出てこない。 「オフレコなんだよ。息子のことは」 彼は人差し指を口元に当て笑った。 「オフレコなのに良いんですか?」 クスッと笑って彼を見つめた。 「そろそろ頃合いかと思ってね」 「頃合い、ですか?」 フッと彼の視線が下がる。 ちょっと切なそうな顔が、何故か私の中で『先輩』を思い出させた。
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