プロローグ

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色素の薄い 透き通るような白い肌。 茶色の長めの髪が 窓からさす光に反射して輝く。 昼休みのこの時間は誰も音楽室(ここ)に来ない。 『先輩』と私だけ 二人だけの時間。 『先輩』が奏でる旋律は、いつも胸の奥が息苦しくなる。 その息苦しさに耐えられなくて『先輩』と呼べば、薄茶色の瞳は私だけに向けられる。 『リン、おいで。遊んであげる』 『先輩』が左腕を出し、私は引き寄せられるように『先輩』の腕の中に簡単に閉じ込められてしまう。 抗うことの出来ない引力……ーー
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