volume1

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その姿に大丈夫なのかとため息が出る。 「悪いな。朝比奈」 私は相場から馬場さんに視線を移すと、口の端に器用に禁煙パイポを加え「佐々木歩の音源だ」とCDを手渡してくれた。 本当は音源だって相場が用意しなければいけないのに、馬場さんはいつでもフォロー出来るようにちゃんと準備をしている。 「因果なもんですよね…」 「因果?」 「いえ、何でも。馬場さんのせいじゃないですし、それに佐々木歩とお近づきになれるかもしれないですしね」 「そうなったら、佐々木歩の恩恵でも受けたいもんだな」 自分の仕事だってあるのに、部下のフォローもして 「相場!何時まで探してんだよ!」 こうしてハッパもかけて… なのに、このフロアーには何人それを知っているんだろう。
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