4 ホントノ、キモチ

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 姉である江利奈にこんなにもハッキリと嘘を吐くのは、初めてかも知れない。と遼太は思う。 覚えている限りは、幼い頃から今の今まで一度もなかった。  嫉妬と心配とに駆り立てられ、弟を使ってまでして繋ぎ止めたいと願っている夫を、その弟に心ごと奪われているとは夢にも思わない姉に。  遼太はスマートフォンを持つ手とは反対の、右手の人差し指で唇をなぞった。 さっきしたばかりの古河とのではなく、梶谷とのキスが蘇ってくる。  姉が唯一禁じたことの味わいはただただ甘い、文字通り甘露だった。 思い出すだけでウットリとしてくる。  一方的に話し続ける姉の声に言葉に、梶谷のささやきの幻が覆い被さった。 「愛してるよ。遼太」  あの夜は、江利奈と話しながら梶谷に触られていた。 その記憶を遼太は自分で、体の上で再現し始めた。  下肢の欲望はとっくに上を向き、既にローションを零したかの様に先走りを溢れさせている。 「え?やだなぁ。ダイジョウブだよ。姉ちゃん。ゼッタイ、本気になんかならないよ・・・」  おれは、ね。と遼太は荒くなる息と一緒に、その言葉を押さえ込んだ。 遼太の右手は勝手に強く速く、自身のを刺激していく。 「今、落とし中の男性(ひと)がいるんだ。うん、スゴイ優しい人。しかも、お金持ちなんだ」     
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