1.ここ二か月の間の、何時もの週末

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 早速、食器類を洗い始める遼太の背中へと、梶谷は話し掛けずにはいられなかった。 「後でやっておくからいいよ。早く帰れよ」 「すぐに終わるから。でも、ありがとう」  振り返り答える遼太のはにかんだ顔を見て、梶谷は再び鼓動が高鳴るのを覚えた。  今更、どうしたというのだろうか? 遼太に皿を洗ってもらうなんて、けして初めてのことではない。 何時もそれ以上のことをしてもらって又、平気でさせてもいるというのに。  手早く後片付けを終えた遼太は、何時もの週末と同じ様に身支度を整えて、梶谷の部屋から帰って行く。  泊まっていくのは決まって、土曜日の夜だけだった。 「水曜日に来れたら、又来るから。もし、都合が悪かったら連絡して」  水曜日は遼太のバイト先の定休日だった。 遼太はシフトを週四で入れていたが、確実に体が空く水曜日は必ず、梶谷の部屋へとやって来た。梶谷の都合がよければ。  単身赴任をしたばかりで、知り合いもいない梶谷の付き合いなどないも同然だったが、こうやって遼太が念を押していくのも、ここ二か月間の何時ものことだった。 「あぁ」 「ゴミ、帰るついでに出しておく」     
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