2 禁じられたキス

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 「単身赴任中だし、自分は妊娠してるし、航介さんはゼッタイ浮気するって。姉ちゃん、すごい気にしてた。心配でしんぱいで、お腹の中にいる赤ちゃんにも良くないって。だから近くに住んでるおれに、航介さんのこと見張っているようにって、言ってきたんだ」 「見張るって・・・じゃあ何か?江利奈に言われたからって、おれと寝てたのか?」  そんなことを実の弟に頼む江利奈も江利奈だったが、そんな姉に応える遼太も遼太だ。と梶谷は心底呆れた。 今すぐには信じられなかった。  しかし、遼太は激しく首を横に振った。 「違う!そうじゃない!おれが、航介さんのことが前から好きだったっていうのは本当だ。こんなこと、姉ちゃんに言われたからって誰とでも出来るわけじゃない!姉ちゃんは、おれが航介さんのこと好きだって知ってた。だから・・・」 「だから、何だよ?」  そこで言葉を区切った遼太を梶谷は促すが、遼太は更に深く俯いてしまった。 「言え!遼太!」  今の梶谷の言葉は、遼太にとっては振り下ろされる鞭と同じだった。 大きく体を一震わせしてから、遼太は顔を上げた。  そして、告げる。 「航介さんと、何をしてもいいって。他の女の人と寝るくらいだったら、男で、自分と血が繋がっているおれと寝てくれた方がマシだって。その代わり、何回どんなことしたかって、毎回ちゃんと報告しろって・・・・ でもおれ、姉ちゃんにそう言われてうれしかった」
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