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「今、おまえが話したことは全部、おまえたち姉弟の都合だよな?勝手なことばかり言いやがって!おれの都合は、気持ちはどうなるんだよ!?」
「え・・・?」
「二か月もの間、毎週のように上げ膳据え膳食わされ続けて、おれが何も考えないとでも思うのか!?ふざけんな!おれたち、何回ヤッたと思ってるんだよ!?ゴム、何ダース使ったか覚えてるのか?」
「あっ!?」
梶谷に押し付けられた下肢の熱さに、遼太は思わず声を上げた。
「騙していてごめんなさいだ?今更何言ってんだよ!人のこと、こんな風にしておいて!・・・責任、取れよ」
「航介さん・・・」
自分の顔を胸に押し付ける様にして抱きしめている梶谷の声が、涙で震えているように遼太の耳には聞こえた。
遼太の肩を掴み、上体を離した梶谷はさすがに泣いてはいなかったが、遼太を見つめる目は涙でだか、その光を強めていた。
「遼太」
そう呼び掛けてから、梶谷は遼太の頬に触れた。
こんな風に、コワレモノを扱うかの様に遼太に触れるのは初めてだなと、梶谷はぼんやりと思った。
目を閉じ顔を近付けて、口付けようとしたその時、遼太が梶谷を突き放した。
「ダ、ダメっ!」
「何でだよ?バレたらもう、ヤらせないって訳か?」
拍子抜けし、半ば皮肉交じりで言う梶谷へと、遼太はすぐさま打ち消した。
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