2 禁じられたキス

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 「違うよ!キスは、キスだけはしちゃダメだって、姉ちゃんが・・・」 「江利奈が?おれと何をしてもいいんじゃなかったのか?」  そもそも江利奈がいくら妻だからといって、実の弟を(そそのか)し夫へと(けしか)けた挙句に、アレはしてもいいコレはダメと言うのは、梶谷には全く理解が出来ない。  元もと江利奈には極端なところがあるように、梶谷には感じられていた。 妊娠中で精神的に不安定だとしても、これは極端過ぎる。  遼太は今さっき、梶谷が口付けようとした自分の唇をなぞり、言った。 「キスは、本当に好きな人とだけするものだから、ゼッタイにしちゃダメだって。航介さんの唇は、妻である自分だけのものだからって」 「・・・・・・」  江利奈の、妻の意外なロマンチスト振りに梶谷は驚きつつも、確かに言われてみれば遼太とキスをしたことはなかったなと、思った。 それ以上のことを色いろとし過ぎて、全く麻痺してしまっていた。  遼太が言い募ってくる。  「姉ちゃんは本当に、航介さんのことが好きなんだよ!だからっ!」 「江利奈のことはどうでもいい!おまえは江利奈じゃない!江利奈なんかじゃない!・・・おまえはどうなんだ?遼太。おまえはおれと、キスしたくはないのか?」  梶谷に言葉を遮られ封じられて、遼太は俯き、黙った。     
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