1.ここ二か月の間の、何時もの週末

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 梶谷は江利奈の六才年下の弟である松澤遼太とは、江利奈と結婚する直前に何度か会っただけだった。  よくしゃべり、華やかで社交的な姉とは見事なまでに対照的な、大人しくて物静かな弟だな。という印象を梶谷は持った。  姉の料理がアレなので、大して期待はしていなかった梶谷だったが、遼太が作る料理は独り暮らしの若い男らしくシンプルで味付けもしっかりとしていて、量も多かった。 聞けば、バイト先のイタリアンレストランで賄いを作ることがある。とのことだった。  梶谷は断然、遼太が作る料理の方が好みだった。 「洗濯物、溜め込み過ぎ」  もしも江利奈だったら、そのまま洗濯をした後で梶谷へと文句を言うに違いないな。と思いながら梶谷は、丸めたまま洗濯カゴに入れたハンカチやら靴下やらを、いちいちほぐしている遼太の手元を覗き込んだ。  骨張った男の手だったが、その手が生み出す快感を梶谷は思い出し、喉を鳴らす。 「悪いわるい」  ほんの少しも、そうとは思っていない軽い口調で言い、遼太の腰を引き寄せる。 スウェットの柔らかい布地を持ち上げつつある自身を、遼太の尾の名残りの骨に押し付けた。  ビクッ!と遼太が腰を、体を震わせた。 「コッチも、溜まってんだよ」 「・・・・・・」     
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