3 秘密の花園(仮)

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3 秘密の花園(仮)

 江利奈はすぐに弟からの電話に出た。 今や遅しと、遼太からの連絡を待ちわびていたかのようだった。 「あ、姉ちゃん。さっきはゴメン。うん、うん、今は大丈夫。あっっ!何でも、ない・・・」  遼太は思わず上げた自分の声を、噛み殺した。 左の首筋に吸い付く梶谷の唇が、ほくろへと辿り着く。 尖らせた舌先で突っつき、一舐めした。  梶谷から逃れようにも腰に腕を回され、しっかりと押さえ込まれている遼太には叶わなかった。 尾の名残りの骨に当たる梶谷の塊の熱さが、ジワジワと遼太の前へと伝わっていく。 「うん、平気。航介さんにはバレてないよ。今日の航介さん?・・・最初は口で、それから後ろで二回、イッたよ」  恐らくは江利奈に命じられるがままに、先程の行為を「報告」していく遼太の姿に、梶谷は言い様のない興奮を覚えた。 淡たんと、何でもないことの様に言おうとしているのが又、そそる。  このきゃしゃで、何処かまだ少年じみている青年は、実の姉と義理の兄との二人に挟まれ、文字通りなぶられている・・・  そう思うと梶谷は、電話越しの江利奈にはけして出来ないコトで更に、遼太を追い詰めてみたくなった。     
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