1.ここ二か月の間の、何時もの週末

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 シンクの縁に左手をつき、右手は遼太の頭に置いて、梶谷はキッチンの床に跪き口を使い続ける遼太を見下ろす。  自分がゼッタイにやらないようなコトを弟が、しかも嬉きとして行なっていると知ったら、アノ潔癖な妻は一体どんな顔をするのだろう?と梶谷は思った。 見ものだ。とまで考えて、ほくそ笑む。  梶谷が一瞬だけ腰を突き出すと遼太は小さく、くぐもった声を上げたが、けして顔を口を退けようとはしなかった。 形の良い、赤い耳に触れる。  始めの頃はきつく目を閉じて、当の遼太でも江利奈でもなく、適当な女にされているのを思い浮かべていた梶谷だったが、今は違う。  懸命に手指で舌で唇で、自分を満たそうとする遼太の姿は同じ男のはずなのに、梶谷の目も十二分にそそる。  どちらかと言うと男顔の姉の江利奈に対して、弟の遼太の方が女顔だからなのかも知れない。 線の細い、整った顔立ちをしていた。見ようによっては中なか可愛らしい。 それなりにモテるのだろう。と梶谷は想像する。  同性故にか、遼太の口の使い方はツボを押さえていて、しかも一生懸命だった。  ウッカリ気を抜いていると、それこそすぐに達してしまいそうになり、実際に梶谷はそうなった。     
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