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「う~寒っ」
隣でくしゃみをした男をチラリと見た。
「風邪でもひきましたか?」
「かな?少し悪寒がする」
そう言ってくしゃみをした男・晴時が腕を組んで縮こまった。
季節は秋から冬に移ろい、朝夕の冷え込みは少しづつ厳しさを増していた。
晴時に声をかけた男・種臣が読みかけの書物を閉じると部屋を出ていく。
「いや~今宵は冷えるのぅ」
種臣と入れ違いに入ってきた男が肩をすぼめながらいった。
晴時が再びくしゃみをすると、男は無骨な声で笑う。
「何だ。風邪でもひいたか」
浅黒く日焼けした肌に白い歯を見せ、無骨な声の男・伸基は豪快に笑う。
「日頃の鍛練が足りぬ証拠だ」
力強くバシバシと背中を叩かれ、晴時は『うっ』と声を飲んだ。
「鍛練ならやってるよ。どっかの筋肉バカと一緒にすんな」
「ん?誰のことじゃ」
「そりゃ、あん―――いてっ」
晴時の後頭部を衝撃が襲う。
「いってーな!お前」
頭をさすりながら晴時が振り向くと、右手に長剣を持った男が見下ろしている。
「泰親、お前後ろからの攻撃は卑怯だろ」
「お前は相変わらず親父殿への言葉使いがなってないな」
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