あの日の出来事-2

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『あれ?』  教室に入ってきた央寺くんが、私以外誰もいないことに驚いて、入口のドアに手をかけたまま固まっている。 『姫野だけ? なんで?』  私は読みかけの本を閉じて、 『……現地集合だったみたいで』  と返した。  その日は市の総合体育館に現地集合だと、変更があったらしい。らしい、というのは、変更の通知があった日に私は風邪を引いて休んでいて、先生が私に連絡を入れ忘れていたからだそうだ。  そのことを央寺くんに話したら、彼も同じだった。その日、央寺くんは親戚のお葬式があって休んでいたと教えてくれた。 『さっき先生が教室に来て、あと十五分くらいしたら一緒に車に乗せて送ってくれるって。時間も三十分後に変更になってたみたい』 『なんだそれ。いい加減だな、先生』  央寺くんは、大げさなため息をついて自分の席に座る。
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