央寺くんの条件

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「な……何月に辞めるの?」 『土曜日に店長と話した時は、一応今月いっぱいてことになった。だから……今度の土曜日で終わりか。まぁ、どうしてもっていう時はお願いしたいって言ってたから、名前は残しとくみたいだけど』 「へぇ……」  そう言った私の声は、自分が思った以上に乾いて響く。まるで、ふてくされている子どものようだ。 『不安?』 「え? いや……」 『大丈夫だよ、姫野は。さっきも言ったけど』  ふ、と電話口の央寺くんの声がやわらかくなった気がした。それが少し嬉しく感じたけれど、その半面、私の気持ちはどんよりと曇っていく。  やっぱり今月いっぱいってことになってたんだ。央寺くんにとっては願ったり叶ったりなんだろうな。私への教育に熱を入れてきた手間が報われて、晴れて……。
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