痛すぎる自覚

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「よ……頼子。私はいいから、あの子たちと一緒に行ってていいよ」  努めて笑顔を作ってそう言った私に、 「は? なんで?」  と聞き返す頼子。 「だって、あの子たちと仲いいじゃん、頼子。ていっても、あの子たちに限らずみんなと仲いいけど」 「いきなり何の話? 和奈も美術じゃん。一緒に行って何が悪いわけ?」 「や……ほら、だってさ。わ、私なんかといるより、楽しいかなって」    話している途中から、頼子はあからさまにムッとした表情になる。笑い声や話し声でざわめいている廊下で、私と頼子だけが浮きはじめてきたのがわかった。しまった、と後悔するも遅かった。 「ちょっと待ってよ。何よ? 急に。それに“私なんか”ってまた言ってるし」  頼子の語気が強くなり、私はちょっと腰が引けるも、 「なんか、気を使わせて申し訳ないっていうか……」  と続ける。段々と唇が震えてきた。
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