痛すぎる自覚

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「…………」 「ごめんね。もう、電話もやめよう」  それを聞いて、私の心にはさらなる重みが加わった。  電話をしながら、央寺くんと将棋を楽しんでいる自分が脳裏に映る。すぐ近くで話しているような、電話口の央寺くんの声を思い出す。たくさん話した内容ひとつひとつも全部覚えているのに……それらが一気に色褪せたように遠くなる。 どうしてこうなっちゃうんだろう。ぜんぜん自分の思うようにならない。 私の顔がもっと歪んだ、その時。 「あーれ? 和奈ちゃんじゃん。来てくれたんだー、嬉し……」  殿村くんが首にかけたタオルで汗を拭きながら歩いてきた。 私の顔を見て、 「え? 泣いてる? は? こいつに泣かされたの?」  と言って肩に手を添え、央寺くんを見た。 「ちが……」  私が否定しようとすると、「あれ?」と意外そうな声を上げる殿村くん。
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