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「あー……そっか、ごめん、早とちりしちゃった。人のものなのに勝手なこと言って、ごめん」
明日美さんは、頭を掻いてそう言い、私の手に赤のストラップをふたつとも戻す。
「よし、じゃあお店戻るね。気を付けて帰ってね、姫野さん」
「……は、い……」
そして、ドアを閉める直前に、
「あ、もしかして殿村へのプレゼントだったりして」
と意地悪な含み笑いを見せて、去っていった。
ロッカールームに残された私は、自分の言動に戸惑っていた。だって、殿村くんにあげる予定だった緑のストラップは、あの1年生の女子に快くあげられたんだ。それなのに、どうして明日美さんには渡せなかったんだろう。
それに……央寺くんがストラップを集めていること、明日美さんも知ってたんだな……。
勝手に、央寺くんと私だけの秘密のような気がしていた私は、胸にチクリと痛みを感じた。
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