痛すぎる自覚-2

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「あー……そっか、ごめん、早とちりしちゃった。人のものなのに勝手なこと言って、ごめん」  明日美さんは、頭を掻いてそう言い、私の手に赤のストラップをふたつとも戻す。 「よし、じゃあお店戻るね。気を付けて帰ってね、姫野さん」 「……は、い……」  そして、ドアを閉める直前に、 「あ、もしかして殿村へのプレゼントだったりして」  と意地悪な含み笑いを見せて、去っていった。  ロッカールームに残された私は、自分の言動に戸惑っていた。だって、殿村くんにあげる予定だった緑のストラップは、あの1年生の女子に快くあげられたんだ。それなのに、どうして明日美さんには渡せなかったんだろう。  それに……央寺くんがストラップを集めていること、明日美さんも知ってたんだな……。  勝手に、央寺くんと私だけの秘密のような気がしていた私は、胸にチクリと痛みを感じた。
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