痛すぎる自覚-2

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 裏出口から出た私は、店内で待っていると言っていた央寺くんに店の外で待っているとメールで伝えた。今、ちょうど明日美さんと話をしているところだろう。私は、地に足がついていないような心持ちで、店の外の自販機の横にたたずんでいた。自分の気持ちの整理がつかず、どんな顔をして央寺くんを待っていればいいのかわからない。 「あれ? ヒメのん」   メールを送ってからすぐに聞こえた独特な呼び名に、私は顔を上げた。そこには原付バイクを押してきたらしい関谷くんがいた。 「バイトあがり? もしかして律ちゃんももうすぐ出てくる?」 「……うん、今店内で明日美さんと話してると思う。関谷くんは央寺くんと約束してたの?」 「ううん、この前DVDレンタルしてたから返しに来たとこ」  店の前の駐輪場に「よいしょ」と言って原付バイクを停め、ヘルメットを外す関谷くん。そして、また私のところまで来た。 「誰か待ってるの? 律ちゃん?」 「うん……」 「寒くない? 店の中入ろうよ」 「ちょっと……」  愛想笑いを返すと、関谷くんはきょとんとした後で、すぐにピンときたような顔をつくり、 「あぁー、邪魔しないようにしてるんだ、あのふたりの」  と言った。
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