痛すぎる自覚-2

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「え?」 「あれ? 違う? だって、明日美さんと律ちゃんでしょ?」  一瞬、関谷くんが何を言っているのかわからなかったけれど、ふたりの名前が出て、 「あぁ……うん」  と力なく頷いた。  同時に、胸を針でチクリと刺されたような、細いけれど鋭い痛みを感じ、胸に拳をそっと添える。  そうだ。明日美さんと央寺くんは『先輩後輩以上、お友達以上』で『いい感じ』なんだった。さっきも、明日美さんはそう言っていたのに自分の気持ちの理解が追いつかずにいっぱいいっぱいで、そのことがすっかり頭から抜け落ちていた。 「つ……つきあいそうなの? あのふたりって……」  私は思い切って、関谷くんに聞いてみた。なるべく明るい顔を作ったつもりだったけれど、それに反して声は若干上擦ってしまった。 「うーん、明日美さんに押されて、そうなるんじゃないかな。だって、律ちゃんをこのバイトに引き入れたのも明日美さんだし、学校でもよく話してるし部活でも、すごく仲がよかったし。つっても、明日美さんが一方的にぐいぐいいってるんだけど」
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