痛すぎる自覚-2

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 ギッとパイプ椅子の音が響き、沈黙が流れる。  私は、央寺くんがさっき店長に言っていた、送っていくという言葉を思い出し、 「少し休んだらもう大丈夫だろうから、いいよ? 帰って」  と伝える。  けれどもすかさず、 「今日はもうバイト終わってるし、この後の予定もないし、バス停までは送っていくよ。嫌かもしれないけど、そのくらい我慢して」  と返された。 「い……嫌とか言ってない」 「“好きじゃない”だけで?」  腕組みをしてそう言った央寺くんの顔は、ちょっと皮肉っぽく笑っていた。  昨日のことを言っているんだとわかった私は、 「あの、それは……」  と言い淀み、その後に続ける言葉が見つからずに口を噤む。
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