痛すぎる自覚-2

7/26
443人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「あら、倒れたって聞いたけど、もう大丈夫になったわけ?」  休憩中の明日美さんが、ロッカールームに入ってきてすぐに聞いてきた。  あれから十分くらい横になっていた私はだいぶ回復し、バイト服のままだったので着替えている最中だった。央寺くんは、店内で待ってる、と言って先に出ている。 「はい……ご迷惑おかけしました」 「私も貧血持ちだから、たまになるわ。レバー食べなさい、レバー」  明日美さんは、自分のロッカーを開けて化粧を直しながら、食べやすい味付けを教えてくれる。いつもぶっきらぼうだけれど、明日美さんは面倒見がいい。 「あの……央寺くん、バイト最後だから明日美さんに一応挨拶しなきゃ、って店のほうへ行きましたけど」 「あら、休憩にちょうど入っちゃったから入れ違いになったわね。あとで話すわ。……て、一応、って何かしらね。まぁ、学校で会えるっちゃ会えるけどさ」  笑いながら話す明日美さんに合わせて、私も小さく笑う。  そうか。明日美さんと央寺くんは同じ学校だから、ここじゃなくても会えるんだ。私は他校だから、バイトがなくなったら接点がなくなっちゃうけれど。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!