痛すぎる自覚-2

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 あ、でも、週に一回のバスケの合同練習を見に行けば、会えるけど……。  ……あれ? 私はなんで、央寺くんと会うことを考えているんだろう。べつに会えないからって、何も不都合はないはずなのに。むしろ私は、央寺くんのこと、一番関わりたくない人とすら思っていたのに。  着替え終えた私は、変な考えを振り払うようにロッカーからバッグを取った。けれど、扉に引っかかって中身が床に散乱してしまう。 「わっ……」  慌ててバッグの中身を拾っていると、 「あら、大丈夫? ……て、あれ? これって」  一緒に拾ってくれた明日美さんが、その中に何かを見つけて指でつまみ上げる。 「お守りストラップじゃない。しかも、赤がふたつ」 「……あ」  私は、いつか央寺くんに渡そうと、バッグの中に入れたままになっていたことを、今思い出した。そうだ、あとひとつで全色そろうと言っていた。央寺くんに渡したら、きっと喜んでくれるだろう。  そう思って、明日美さんから受け取ろうとしたその時。 「あ、そうだ! ねぇねぇ、言ったじゃん、私、律といい感じだって。お願い! 赤ふたつあるしさ、私が持ってるほかの色と一個交換してくれない? 律が集めててさ、あと赤だけなんだって」  明日美さんが、パッと笑顔を咲かせた。
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