443人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
……え? なんで明日美さんも知ってるの?
私は突然の提案に、口を半開きのままで固まる。
そして、まだ何も言っていないのに、ふたつのうちのひとつを自分の顔の横に掲げて、
「ね? 協力するってことでさ、きまりっ!」
と喜んでいる明日美さん。
えっ……なんで、勝手に、そんな……。
お母さんの安産祈願だと言った、央寺くんの照れた横顔を思い出す。
「だっ、ダメですっ」
とっさに口を開いていた。一瞬、ロッカールームが静まり返る。今のは私の声だろうか。とても大きくて強い声が出た。
「え?」
明日美さんが、眉をひそめて首を傾げる。
純粋な疑問の顔が、次第に怪訝そうな顔になっていき、私は慌てて、
「あ……いえ、あの……これは、ちょっと……別というか」
と、しどろもどろになりながら弁解した。
もともと央寺くんに渡す予定だったし、明日美さんから渡してもらってもぜんぜんいいはずなのに。
最初のコメントを投稿しよう!