痛すぎる自覚-2

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 ……え? なんで明日美さんも知ってるの?  私は突然の提案に、口を半開きのままで固まる。  そして、まだ何も言っていないのに、ふたつのうちのひとつを自分の顔の横に掲げて、 「ね? 協力するってことでさ、きまりっ!」  と喜んでいる明日美さん。  えっ……なんで、勝手に、そんな……。  お母さんの安産祈願だと言った、央寺くんの照れた横顔を思い出す。 「だっ、ダメですっ」  とっさに口を開いていた。一瞬、ロッカールームが静まり返る。今のは私の声だろうか。とても大きくて強い声が出た。 「え?」  明日美さんが、眉をひそめて首を傾げる。  純粋な疑問の顔が、次第に怪訝そうな顔になっていき、私は慌てて、 「あ……いえ、あの……これは、ちょっと……別というか」  と、しどろもどろになりながら弁解した。  もともと央寺くんに渡す予定だったし、明日美さんから渡してもらってもぜんぜんいいはずなのに。
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