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二度目のラブレター
「頼……」
目の前を通りすぎていくクラスの女子たち。私はその中にいた頼子を、その中で呼び止めようとしたものの、声が小さすぎて彼女たちの笑い声にかき消されてしまった。頼子とは目すら合わなかった。
諦めた私は、行きたいわけじゃないのにそのままトイレに向かい、手洗い場の鏡に映った自分を見る。
……“雰囲気ブス”。
その名前がぴったりのその顔は、雰囲気どころかすべてがブスに見えた。頼りなく垂れた眉に覇気のない瞳、そして上がらない口角、コンタクトにしたって何の意味もない。
「ごめーん、そこ使ってるの?」
トイレから出てきた女子に声をかけられ、
「あ……ううん、ごめんなさい」
と言って、横によける。
自分の周りにいるみんなが、私に対してイライラしているように見えて、俯きながら急いでトイレの個室に入った。
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