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次の日は金曜日で、椿坂高校と柊ヶ丘高校のバスケ部合同練習の日だった。先週ほどじゃないものの、ちらほらと柊ヶ丘の女子がいる。私は、体育館の入口に固まる女子たちを確認して、同中の女子がいないことにほっとした。
「で? どれよ、その央寺って」
頼子が、体育館の中をまじまじと覗きこむ。今日もここに来ているのは、昨日頼子に央寺くんのことを話したからだった。
「あの……5番の人」
「5番? えーっと……あぁ、あれね。今、殿村くんからボールをカットした人」
「あ……うん。ホントだ」
央寺くんを見た頼子は、
「殿村くんと比べるからかしら? その人だけじゃなく、みんなかっこいい男子に見えるわ」
と皮肉を言った。
「あの人のことを中学の時に好きになって、ラブレターを意図せず見られてフラれ、再会してバイトが一緒になり、毎晩電話をし、バス停でも会話の練習をし、再び恋の炎に焦がれていると」
「ちょっと、頼子」
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