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「最後の最後で恋心を自覚したもののひどいことを言ってしまって、にっちもさっちもいかない毎日。あぁ、私、どうしたらいいのかしら、という」
「頼子ってば!」
私はシーッと指を立て、頼子を黙らせる。昨日、問い詰められて洗いざらい話したことを端的にまとめられ、顔から火が出そうだ。
そんな私を見て頼子は、
「何よ? 本当のことだからいいじゃない」
と飄々と言ってのける頼子。
「いやー、でも、ロックオンされてたと思いきや、そんな事情があったとはね。それに強敵もいると」
明日美さんのことも言われるも、それ以前の問題だと頭をかかえる。だって、あれだけひどい言いがかりをつけたんだ。もう嫌われてるかもしれないのに恋を成就させたいとか、ライバルがどうのこうのとか、そんなところまでたどりつけやしない。
今だって、央寺くんに見つからないようにするのに必死で、頼子に顔を見せるという目的を果たした今、すぐにでもこの場から立ち去りたいのに。
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