二度目のラブレター

13/24
前へ
/24ページ
次へ
「頼子、まだ見るの? 私……ちょっとトイレに行きたいんだけど」  嘘の理由で体育館から離れようとすると、 「あ、今ちょうど休憩になったみたいよ? 体育館の中のトイレ借りたら?」  と言って、せっかく靴箱の隅に隠れていた私を引っ張りだす頼子。 「ちょっ……待って」  慌てて引き返そうとするも、そんな私なんて気にせずに体育館に入り、コート脇をスタスタと歩いてトイレへと連行される。やっぱり黙っていたほうがよかったと反省しても、もう遅い。 「やっ、あのっ、頼子っ、本当に」  挙動不審な私たちは体育館内で目立ったのだろう、殿村くんがすぐにこちらに気付き、 「やったー、応援しに来てくれたんだ」  と寄ってきた。 「違……」 「違うわよ。あの人を見に来ただけ」 「あの人? ……あぁ」  頼子が目で合図をしたほうを私も殿村くんも見る。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

794人が本棚に入れています
本棚に追加