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「経営者は大変だよ。まぁ、そんなに大きくはない店だけど、僕にとっては大事な店だし、大事なお客さんだし、大事なスタッフだからねぇ。なんとかやっているけど」
店長の話を聞きながら、私は何度も相槌を打つ。
店長に対しては、最初、勝手に話を進める、ちょっといい加減な人という印象だった。けれど、一緒にレジに入った時に、その手際の良さと接客対応の臨機応変さに驚き、見方が変わった。店長なんだし、当たり前と言えば当たり前なのだけれど。
「姫野さんは話しやすくなったね」
「……そうですか?」
弁当箱を片付けるために席を立とうとすると、店長はふいにそう言ってきた。
「うん。しゃべりがうまくなったっていうより、話しているこっちが気持ちよく話せる。そんなオーラっていうか空気が出てきた。きっともともとそういう人だったんだろうけど、最初はほら、なんかまわりと関わらないようにしてるっていうか、下手に話さないほうがよさそうな雰囲気で」
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