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店長の言ったとおり、午後からはお客さんが倍増して、あっという間に時間が過ぎた。大変だったし、応援も頼んだけれど、ちゃんと声を出すことができて、ちゃんと対応することもできて、自分でも少し自信が出てきたような気がする。
店長の話を聞いたからかもしれないし、頼子と仲直りをしたことで、自分を少し見直すことができたからかもしれない。
そんなことを思っていた、バイトの時間が終わる頃……。
あれ?
少しだけすいてきた店内の片隅に、不審な動きをする黒い帽子の男の人を見つけた。あきらかに周りを気にして、DVDをいじっている。防犯用のシールを剥がしているように見えなくもない。
「……あ……」
そして、そのままそのDVDをバッグの中に入れた男。何もなかったかのように自動ドアのほうへ行こうとしたところを見て、私はとっさにカウンターから出た。
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