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「…………」
驚きに、息をするのを忘れる。
なんで、央寺くんが……。
央寺くんは、天井の角を指差し、
「そこの防犯カメラですべて撮影されてます。今の行為含めて、一緒にご確認していただけますか?」
と言った。
驚きうろたえた男は、すぐに私から体を離す。
「なんだよ、お前は。店員でもないくせに、そん……」
「私服警備員です。店長呼んできて証明しましょうか?」
はったりだけれど、効果絶大だった。男は急に態度を変えて、さっきバッグに入れたDVDも「間違えて入ってしまったんだ」と押し付けるように私に返してきて、逃げるように店から出ていった。
その途端、私は怖さと緊張の糸が切れて、腰を抜かしてその場にしゃがみ込む。手の震えがさっきよりもひどくなっていて、声も思うように出せない。
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